ソフトバンクとイー・アクセスが「おサイフケータイ」(島田雄貴、2005年6月)

ソフトバンクとイー・アクセスの携帯電話向け電子マネー「おサイフケータイ」(電子マネー)採用の動きについて、島田雄貴がリポートします。

ドコモの決済機能を採用

イーモバイル

携帯電話事業への参入を目指しているソフトバンクとイー・アクセス(イーモバイル)の両社は、携帯端末をクレジットカード代わりに使える“おサイフケータイ”の商用化を視野に入れている。参入が実現した場合は、NTTドコモが2004年7月に業界で初めて導入した電子決済機能の採用を検討する考え。この“おサイフケータイ”はKDDI(au)とボーダフォンも10月にも追随導入する予定。既存事業者に加えて新規参入者も採用に動けば、決済機能が携帯の標準仕様として急速に普及しそうだ。

フェリカを搭載
お財布携帯

ドコモの“おサイフケータイ(お財布携帯)”は、ソニー規格の非接触ICカード「フェリカ」を搭載した携帯端末。電子マネーをダウンロードした端末を店頭の読み取り機にかざせば代金決済できる仕組み。2006年1月からは携帯でJR東日本の自動改札機も通れるようになり、定期券代わりにも使える。

三井住友カードに資本参加

ドコモは4月に三井住友カードに資本参加しており、06年にはクレジットカード機能が本格的に搭載される。ドコモは第3世代(3G)携帯「FOMA」のうち廉価版を除く全機種に“おサイフケータイ”機能を標準搭載させる計画。通信料収入が伸び悩む中、代金決済に伴う手数料収入といった新たな収益源を確保する狙いを込めている。

KDDIとボーダフォンも

ドコモに続きKDDIとボーダフォンも同機能搭載の端末を10月をめどに投入する予定。KDDIは2006年度以降の3Gに同機能を標準搭載する計画も打ち出している。

千本倖生会長
宮川潤一ソフトバンクBB常務

携帯事業への新規参入を狙うソフトバンクも“おサイフケータイ”機能は「方向として採用したい」(宮川潤一ソフトバンクBB常務)、イー・アクセスも「(同機能は携帯各社がそろって採用する標準化の)メニューの1つになるだろう」(千本倖生会長)と指摘する。

定期券、電子マネー代わり

財布や定期券代わりに使えるなど、利用者の日常に深く入り込む可能性を秘める“おサイフケータイ”(すなわち電子マネー)。手数料収入といった新たな収益源を追求できる利点もある。ドコモが盛んに売り込む機能だが、携帯各社の標準機能となればドコモの差別化戦略ではなくなる。

イー・アクセス、携帯インフラにエリクソン選定(島田雄貴、2006年3月)

イー・アクセスが、携帯電話の設備のメーカーとして、スウェーデンのエリクソンを選んだというニュースが飛び込んできました。島田雄貴の報告です。

イーモバイルのベンダーに

スウェーデンの通信機大手エリクソンは、イー・アクセスの子会社イーモバイルが2007年に新規参入する携帯電話事業のインフラで主要ベンダーに選ばれた。携帯インフラでは世界最大手のエリクソンだが、国内市場ではボーダフォン向けが主体で、携帯の”巨人“NTTドコモにほとんど食い込めていない。今回のイー・アクセスとの連携により、国内で存在感が増しそうだ。ただ通信事業者のインフラは信頼性確保の面から2社以上のマルチベンダー方式がこれまでの主流。イー・アクセスがエリクソンに続き、どのインフラ会社を追加するかが注目される。

千本倖夫会長兼CEOは「1社以上」
2007年3月にデータ通信、08年2月に音声サービ

イー・アクセスの千本倖夫会長兼CEOは、最終的なインフラベンダーの数について「1社以上」と語り、エリクソン以外からの調達に含みをもたせている。エリクソンは全国を結ぶコアネットワークのほか、主要地域となる東名阪の基地局を整備する。イー・アクセスは2007年3月にデータ通信、08年2月に音声サービスを始める予定で、参入当初は東名阪が中心となる。

2-3年後に全国展開

問題は、2-3年後に予定している全国サービスに向けたインフラ整備。いかに効率的に整備できるかが、イー・アクセスの携帯事業の今後を大きく左右する。

NEC・シーメンス、ノキア

第3世代(3G)携帯電話「W-CDMA」方式の世界市場で、エリクソンは強い。エリクソンのほか、NEC・シーメンスの2社連合とノキアを加えた3強が、市場の70%以上を獲得しているのが現状だ。携帯は第2世代(2G)から3Gへの移行に伴い、日米欧および中国を中心に3G基地局などの設置台数、金額ともに拡大していくのは必至だ。ベンダーには大きなビジネスチャンスとなっている。

種野晴夫社長
「5年間で1万5000の基地局を設置する」

イー・アクセスは携帯参入に3000億円程度の設備投資を実施する。「5年間で1万5000の基地局を設置する」(種野晴夫イー・アクセス社長)としている。ただ、一般的には2G携帯の800メガヘルツ帯ならともかく、イー・アクセスが利用する1.7ギガヘルツ帯は電波透過性が低く、「2万の基地局を設置しても足りないのでは」とのインフラ会社の声もある。

ソフトバンクも

NTTドコモの3G携帯はサービス開始から4年が経過。基地局は2006年3月末までに累計で屋外2万3900局、屋内6000局を設置する計画で、イー・アクセスの計画と単純比較すれば倍のペースでインフラ整備が進んでいる。ソフトバンクも整備が速そうだ。

ドコモとのローミング(相互接続)が不可欠

イー・アクセスが参入当初から全国展開するには、ドコモとのローミング(相互接続)が不可欠。また中期的に自前の全国網を築こうにも、エリクソンに続く2番手のベンダー選びに頭を悩ませそうだ。

米ルーセント・テクノロジー、富士通は選ばれず?

これまでイー・アクセスと携帯事業の実証実験を行っていた米ルーセント・テクノロジーや富士通は、なぜボリュームゾーンに選ばれなかったのか。千本イー・アクセス会長は「ルーセントとはスタディーを続けている」としているが、理由は明確に示さない。

ベンダーファイナンスはしない

「(基地局レンタル形式の)ベンダーファイナンスはしない」とするイー・アクセスにとって、自前で行う設備投資の効率化は最大の課題。資金調達にも当然、限界がある。グローバル展開で量を確保できるベンダーでなければ、イー・アクセスの要求にあった価格でインフラを提供するのは難しい。

カーボンオフセットとは(島田雄貴、2005年10月)

島田雄貴によるカーボンオフセットについての解説です。

出したCO2を元に戻す

人は二酸化炭素(CO2)を出して生活している。飛行機に乗って旅行したりすればさらにはね上がる。

日本と英国を往復すれば約2トンのCO2が出るという試算もある。日本人の年間1人当たり排出量が約10トンであることを考えれば相当だ。

「出したCO2を元に戻します」という会社が英国には数社ある。例えば、旅行で出た量を計算してその分を植樹、成木になるまでに吸収してもらおうというもので、カーボンオフセット(炭素の相殺)という。

英国の航空会社

英国では、来年4月から中央官庁職員の出張に適用する予定だ。

英国の航空会社も始めた。日本との往復なら約17ポンド(約3400円)。希望者が運賃と一緒に払う。

「駅すぱあと」が、ルートごとのCO2量

日本では、出発地と目的地で時間や運賃がわかる路線検索ソフト「駅すぱあと」が、ルートごとのCO2量を教えてくれる。大阪~高知駅を鉄道で行くとすると6キロ強のCO2が出る。飛行機と連絡バスなら約36キロ、車で1人なら約60キロ。

便利に旅するほど、料金もCO2排出量も多くなるようだ。

歴代の「サステナブル住宅賞」の受賞者

優れた省エネ住宅に贈られる「サステナブル住宅賞」の歴代の受賞作品のリストです。「新築部門」の最高賞である国土交通大臣賞の過去の結果を一覧にまとめました(2017年まで)。

サステナブル住宅賞とは

サステナブル住宅賞とは、省エネ性が優れていて、なおかつ、住む人が快適に暮らせる住宅を表彰するアワードです。「新築部門」「改修部門」 の2つがあります。

2年おきに開催

サステナブル住宅賞と、そっくりな賞として「サステナブル建築賞」というものがあります。これは、サステナブル住宅賞の兄弟分といえるものです。同じ団体が主催しています。この2つの賞は、1年おきに交互に選考・授与されます。偶数年が「サステナブル住宅賞」、奇数年が「サステナブル建築賞」です。つまり、サステナブル住宅賞は2年おきに開催されます。

1992年に創設

サステナブル住宅賞は1992年に創設されました。25年以上の歴史があります。当初は「省エネルギー住宅賞」と呼ばれていました。2006年から「サステナブル住宅賞」という名称になりました。

国交省の外郭団体が主催

この賞の主催は、「建築環境・省エネルギー機構(IBEC)」という団体です。この団体は、国土交通省の系列になります。いわゆる外郭団体です。建築物の省エネについての講習会や調査・研究を行っています。技術者寄りの専門的な組織です。

対象

2年以内に完成し、人が住んでいるのが条件

サステナブル住宅賞の対象になるのは、過去2年いないに完成した住宅です。なおかつ、応募した時点で、だれかが住んでいなければなりません。

賞金20万

サステナブル住宅賞の最高賞は「国土交通大臣賞」です。賞金は20万円です。次点の「理事長賞」は10万円、「奨励賞」が10万円です。

募集は6月~9月、結果発表は1月

サステナブル住宅賞は、開催される年の6月~9月くらいが募集期間となります。 選考結果は翌年1月に発表されます。表彰式が2月に行われます。

2010年代「新築部門」

年度 作品名 設計者 施工者 受賞理由
2018 2019年1月(予定)に発表。
2016 「Diagonal Boxes」
(埼玉県所沢市)

写真(外観)→

概要→
ARTENVARCH(東京・南青山)、川島範久、佐藤桂火、高瀬幸造、平岩良之 山崎工務店(さいたま市) 住宅の低炭素化は難しいことではないが、大事なのは良い建築をつくりながら省エネルギーを実現することとされる。本作品は省エネルギー性能に優れたものであり、、世界の低炭素化に貢献する。省エネルギーの工夫に加えて、資源・工法の工夫、ライフスタイルの工夫を実現している。ユニークな対応で、建築家が多くを学ぶことができる。
2014 「八雲の大屋根・小屋根」
(東京都目黒区)

写真(外観)→

概要→
KMKa(東京・目白) 青木工務店(神奈川県大和市) 2軒の屋根は、切妻と片流れという日本のどこにでもある屋根を緩い勾配で揃え、街並みに配慮した架構形式を採用した。省エネルギーのために特殊な形にするのではなく、既存の街並みに馴染む風景をつくることを意図した。手前を平屋、奥を2階建とし、駐車場とアプローチを一体としたまとまりのある外部空間を設けたことで、前面道路に対して圧迫感の無い開放的な街並みとなっている。
2012 「南禅寺の家」
(京都市左京区)

写真(外観)→

概要→
トヨダヤスシ建築設計事務所(京都市) ツキデ工務店(京都府宇治市) 京都・東山の山裾、昔ながらの面影を残す町並みの一角に伝統的な京町屋の良さを引き継ぎながら、現代が求める住宅機能を完成すべく、設計段階での気候分析、趣味レーションツールを駆使した性能予測の上で土壁工法に習熟した長年の経験を活かし、土壁利用により断熱・保温、集熱、蓄熱の3要素をバランスよく保った設計・施工を行った。
2010 「松河戸の家」
(愛知県春日井市)

写真(外観)→

概要→
笹野空間設計(名古屋市) 誠和建設(名古屋市) 南に向かって大きな2層分の開口面をとり、幾何的なボリュームが存在感のある現代的な外観。大きな開口面を利用して、日射取得、日射遮蔽の工夫、自然通風の活用など、環境工学的合理性を追求したパッシブデザイン。また、複合発電・給湯・暖房システム、HEMSによるエネルギー管理など、高度な設備機器による環境配慮が行われている。環境工学的に合理的で、住宅としても快適で素直な空間構成となっている。
2008 「Q=0.64臥龍山の家(サステナブル住宅)」
(秋田県能代市)

写真(外観)→

概要→
西方設計(秋田県能代市)、室蘭工業大学鎌田研究室(北海道室蘭市) 池田建築店(秋田県能代市) 建物は5間×4間の総2階建てでコンパクトにまとまっており、外観形状はおとなしい箱形に納まっているが、内部は吹き抜けを交えた天井の高い豊かな空間となっている。木造でQ値0.64W/m2Kと極めて高い断熱性を備え、高いレベルの省エネルギーを実現。構造材、外装、床、天井、造作に秋田スギを多用して、地産地消型の資源消費を実現している。
2006 「小泉邸」
(横浜市青葉区)

写真(外観)→

概要→
小泉アトリエ(横浜市)、メジロスタジオ(東京・目白) アイガー産業(東京・田園調布) 設備計画では床暖房を採用し、また床・壁に蓄熱体を入れ室温の平準化を図ることで内部空間の快適性を確保している。蓄熱体をガラスの内側に配して透過性を持たせた光壁を提案している。省資源化の取り組みとしては、雨水のトイレや植栽散水への利用、屋上デッキでの再生人工木材の採用などがある。さらに構造計画では断面の小さい多数の柱で建物を支えるため、主要な構造材の省資源化も実現している
2005 「海藤邸」
(山形県新庄市)

写真(外観)→

概要→
双葉建設コンサルタント(山形県新庄市) 沼田ハウス(山形県新庄市) この住宅は、築140年の古民家を解体し再建築したものである。各地の古民家はその構造・景観性・文化性に優れたものであるにも拘わらず、その維持保守の困難さと温熱性能の低さや水回り設備の古さなどから、見捨てられ解体される事例が多い。 この住宅の場合、解体し再建築し直すことによって、耐震補強、断熱・気密性の向上、最新水回り設備の導入をリーズナブルなコストで実現したもので、省エネ効果の予測データも用意し、実測(室内温度実測、冬季暖房費用の比較)により、検証している。 地方の都市部において、地域の風土に根ざし、伝統を守りつつ、長寿、快適、健康、省エネなどサステナビリティの高い住宅を実現している。
2002 「小笠原邸」
(札幌市)

写真(外観)→

概要→
北海道建築工房(札幌市) 水岡工務店(札幌市) 比較的住戸密度の高い住宅地にあるすっきりしたデザインのコートハウスである。地域柄避けては通れない雪は、屋根から落とさない方式で、ステンレス板溶接仕上げの陸屋根とし、建物の高さを抑え、隣地や街並に対して圧迫感のない印象を与えている。積雪寒冷地における市街地住宅としてひとつの方向を示すものである。街の景観への配慮は、省資源のために建物を永く使おうとする設計者の基本方針のあらわれであり、建物自体にも反映されている。地域の特性やライフスタイルを考慮し、素材、要素技術、高効率の機器やシステムがバランスよく統合された住宅である。
2000 「石田邸」
(東京都昭島市)

写真(外観)→

石田健一(積水ハウス) 積水ハウス(東京・赤坂) この住宅は、自然を活用しながら住居者である高齢者が健康・快適で長生できることをコンセプトに設計され、積水ハウスの木造住宅のシャーウッドエム・アルバーノをベースに実験的に特殊な高断熱・高気密仕様になっている。いつでも何処でも快適な全室終日冷暖房を行いながら、冷暖房用エネルギーを一般家庭の60%に抑えられる省エネルギー住宅となった。設計コンセプトどおりに現在も快適で健康な住み心地を実現している。
1998 「田川邸」
(神奈川県鎌倉市)

内田建築設計 フジケン
1996 「湯本邸」
(長野県須坂市)

スウェーデンハウス(東京・三軒茶屋) ソーラーシステム(長野市)
1994 「千葉邸」
(仙台市)

千葉春秀 橘綜合住宅(仙台市)
1992 「鈴木邸」
(仙台市)

鈴木博司 北洲ハウジング(宮城県富谷市)

歴代の「日事連建築賞」~島田雄貴(雑誌「インサイダー」記者)

日事連建築賞は、建築士の団体である「日本建築士事務所協会連合会(通称・日事連)」が主催する賞です。 すぐれた建物を設計した建築士の事務所に贈られます。~島田雄貴(雑誌「インサイダー」記者) 1985年に創設されました。

最高賞は「国土交通大臣賞」

日事連建築賞の最高賞は「国土交通大臣賞」です。その次の第2位となる賞は「日事連会長賞」です。

対象

審査の対象となるのは、新築またはリフォーム(増改築)された建物です。 一定以上の安全性を備えていることが条件です。

2つの部門

日事連建築賞には、「一般建築部門」(延面積1,000平方メートル超)と、「小規模建築部門」(延面積1,000平方メートル以下)の2つの部門があります。最高賞の国土交通大臣賞は、それぞれの部門の優秀作品の中から最も優れた建築物に贈られます。

毎年9月に発表

募集期間は3月~5月ごろ。選考結果は9月に発表されます。

2010年代「国土交通大臣賞」

受賞作 理由/受賞者 写真
2017 「あたご保育園」
(長崎市)
子供の想像力を引き出すような空間づくりが評価された。「ここにしかない建物」をつくろうとする姿勢が表れている。 街を見晴らす棚田だったという立地場所の特性も生かされている。

受賞者:
INTERMEDIA
(長崎県島原市)
島田雄貴イー・アクセス
2016 「たまプラーザの家」
(横浜市)
4世代家族が暮らす住宅。 世代間の生活時間や習慣のずれに配慮した作りが評価された。 「4つの世代が一つの敷地で生活するからこそ生まれる豊かさ」をとらえたいという思いが、 敷地の使い方や生活同線に現れている。

受賞者:
石井秀樹建築設計事務所
(東京・広尾)
たまプラーザの家